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太宰治展示室(三鷹市)書斎を再現!

青森は金木(現・五所川原市金木町)出身の太宰治(1909〜1948)。東京でのゆかりの地といえば、晩年を過ごした東京都三鷹市だ。市内には太宰治文学サロンがあるが、本日2020年12月8日(火)、もうひとつ新たなスポットが誕生した。JR三鷹駅南口すぐにある、三鷹市美術ギャラリー内にオープンした太宰治展示室「三鷹の此の小さい家」である。なんと、太宰が住んでいた家をモチーフとした展示室になっている!

太宰治展示室の玄関
太宰治展示室のオフィシャルの書体。太宰自筆によるもの

太宰の妻・津島美知子は『回想の太宰治 増補改訂版』(人文書院)の「三鷹」の項で次のように書いている。

六畳四畳半三畳の三部屋に、玄関、縁側、風呂場がついた十二坪半ほどの小さな借家であるが、新築なのと、日当たりのよいことが取柄であった。

太宰たちは昭和14年9月1日から三鷹村(町)下連雀113の住民となったのだ。そして、戦後の昭和21年11月に疎開先から三鷹に戻ってきている。

太宰治文学サロンの学芸員・吉永麻美さんによると、太宰の家の三畳と四畳半の部屋に関する資料は見つかっていないため、無理に再現しなかったという。三畳間は常設展示室の役割を果たし、三鷹時代の資料を中心に展示。四畳半間は企画展示室となっており、定期的に開催される企画展のスペースとして利用される。

三畳間と四畳半間が展示室となっている。文箱や懐中時計の他に、第一回桜桃忌芳名録など、貴重な資料を観ることができる

かたや、六畳の部屋は割と資料が残っているので、リアルに再現されている。前掲書の「書斎」の項には、こう書かれている。

北向きの玄関の障子をあけて入ると、とっつきの六畳間が太宰の書斎兼客間で、左手は一間の押入と一間の床の間、左手は襖で、家族の居間の四畳半としきられていた。

展示室は土足で入れるが、この六畳間だけは靴を脱いで入る。この部屋の雰囲気のなか、数々の名作が生まれた

この書斎は、体験型展示室となっており、一般の方の撮影も可能だ。床の間の掛軸(佐藤一斎の書幅)をはじめ、太宰が本箱代わりにしていたりんご箱など、細かいこだわりを見せる。

先ほどの吉永さんが今回注目というのが、太宰の描いた絵だ。なかでも太宰の晩年、新潮社の担当編集者だった野平健一氏の肖像画《Spleen de Paris 野平健一像》。太宰の戦後の三鷹時代(昭和22〜23年)に描かれたのは間違いなさそうだ。太宰と親交があった画家・桜井浜江の家で描かれたものだろう。

《Spleen de Paris 野平健一像》長良川画廊 所蔵

ご遺族や三鷹市の関係者の皆さんのこだわりと情熱をもって、オープンした展示室。都内の皆さんはもちろん、地方にお住まいの太宰ファンの皆さん、ぜひ桜桃忌の際は、こちらにもお立ち寄りを!


東京都三鷹市下連雀3-35-1 CORAL5階
TEL:0422-79-0033
開館時間:10時〜18時
観覧料:無料
休館日:月曜日、年末年始(12月29日〜1月4日)
※ただし、月曜日が休日の場合は開館、その翌日と翌々日が休館。
アクセス:JR三鷹駅南口より徒歩1分

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