《1934年式ロールスロイスファントムⅡ》カクテル「ダブルアール(WR)」(中村充宏)
バーに煌めくアートを呑む(第2回)
私は、ザ・ペニンシュラ東京でバーテンダーをしております中村充宏と申します。ここでは、「アートとカクテル」をテーマに、芸術作品にインスピレーションを受けて作成したカクテルを紹介しております。
カクテルは、ワインやウイスキーと違い、着想という原点から創造し、材料やグラス、デコレーション、また味わいなどで“表現する”という特徴があり、アート作品に近いように思います。実際に作成手順も重要ですが、創造力が試されることが多いです。
例えば、以前に私が作ったカクテルにパーフェクトエデン(完全なる楽園)という作品があります。これは森に着想したカクテルで、材料で森を表現しました。
少し詳細を解説すると、生姜で木の根、ヒノキのビターズで木、アロエのリキュールで葉、ユズの皮で果実、スミレのリキュールで花、そしてコーヒー豆の香りで土を表しました。森の構成要素をバラバラにして、一つひとつの材料に落とし込み、そして美味しいという味にまとめ上げ、作品にしました。今回の企画を通して、このようなカクテルが持つ芸術的な側面を感じて頂ければ嬉しく思います。
連載2回目となる今回は、ザ・ペニンシュラ東京にある芸術作品にインスピレーションを受けたカクテル、走る芸術品、“ロールスロイス”に着想したカクテル「ダブルアール(WR)」です。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。