「DayArt」28号特集「三毛猫ノワ脱走の6日間」ロングバージョン
白井さんにお願いし、今度は捕獲器を置きエサをセットさせてもらう。もし中に入ったら連絡してもらうことになり、僕らは一度戻った。
ノワの生存は確かだ。それが何より嬉しかった。妻も僕も、もう大丈夫だと確信した。連絡は3時間後にやってきた。
「ノワちゃん入ったみたいです!」
ノワは野良猫時代、捕獲器で捕まっているので警戒するかもしれないという懸念はあった。しかし、杞憂に終わった。反対にいえば、ノワはずっと空腹だったということだ。
白井さん宅に行くと、ノワが捕獲器で身を縮めていた。僕と妻は目に涙を浮かべ、ノワに声をかけた。遠山さんがそっと捕獲器を手に取り、部屋へ連れて行ってくれた。
八坂さんもずっとその日はいてくれ、夜遅くに帰った。僕らはノワをキャリーケースに移し、ようやく一家で過ごした。ノワ捜索6日目のことだった。
二重扉をオーダーメイドし脱走対策を練る
翌朝、念のため病院に連れて行った。擦り傷がある程度だったが、体重は500グラム減っていた。タクシーで練馬に向かい、ノワは新しい住まいでケージへと収まった。しばらくはケージでの生活になる。
その後、僕らはあらゆる脱走防止対策を施した。特注で玄関の二重扉も設置した。
2022年2月5日、無事世田谷の部屋を引き渡した。管理会社の担当者も猫を飼っているそうで親身になってくれた。5日を過ぎても見つからなかった場合、どうするかも社内で検討していてくれたらしい。ありがたいことだ。
2022年10月現在、ノワは健康的に、甘えん坊のまま僕らと暮らしている。
この捜索に当たり、世田谷の近隣の皆様には大変お世話になった。チラシ掲示、カメラや捕獲器、エサの設置、また様々な励ましの言葉もいただいた。世田谷エレノア歯科、mamesayaの皆様にもいろいろご協力いただいた。
仕事のクライアントにもお世話になった。SNSで情報を拡散してくれた。もちろんSNSでつながった方々にもお世話になった。
桐谷君、太田夫妻、仲田夫妻、八坂さんとボランティアの方。皆様の協力と励ましは勇気になった。
そして猫探偵の西本さん、ペットレスキューの藤原さん、遠山さん。特に遠山さんには感謝の言葉が足りないくらいだ。
本当に本当に皆様ありがとうございました。ノワを一生涯大事にします。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。