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臥龍の門 トッキーここにいる「トッキーマティーニ」(中村充宏)

最初の私の印象は「臥龍」の言葉通り、まるで龍がゆっくり休んでいるような作品全体の柔らかさです。また、すべてに竹が使われているのも記憶に残りました。竹といえば、カクテルの世界では、英語読みした「バンブー」というカクテルが有名です。

シェリー酒とベルモットという薬草を漬け込んだワイン、オレンジビターズで構成された辛口の味わいで、日本生まれのクラシックカクテルとして世界的に知られています。1890(明治23)年に横浜グランドホテルの支配人兼バーテンダーのルイス・エッピンガーにより創作され、日本=竹をイメージして「バンブー」と名付けられました。

このバンブーカクテルにインスピレーションを受け、辛口に仕上げようと決めましたが、作品が持つ柔らかさも表現したいと思い、日本酒の柔らかい甘味を使うアイディアを思い付きました。そして辛口、ドライと言えばジンマティーニを連想し、最近一つの流行となっているジャパニーズジンを使用。

切子グラスで提供される「トッキーマティーニ」は、ジン、日本酒、オリーブビターズで構成されている。アクセントとなっている甘納豆は面白いアイディアだ、と好評。「Peterバー」で味わうことができる 撮影:石本卓史

またジンマティーニに必ず添えられるオリーブから着想し、オリーブの苦みだけを抽出したオリーブビターズを選択。材料としては、ジン、日本酒、オリーブビターズの3種類。初めに感じるのは日本酒のほのかな米の甘味、そのあとジンに溶け込んだスパイスやハーブの旨味に引き込まれ、オリーブの爽やかな苦みで終える味の展開。カクテルがお好きなお客様なら、最後の方の味はジンマティーニを思い出されるでしょう。

デコレーションはいくつか悩みました。普段はステンレス製のカクテルピンを使用しますが、作品に合わせて竹製のピンを選択し、飾りとして甘納豆を添えました。甘納豆を使用した理由は、遊び心からです。

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