臥龍の門 トッキーここにいる「トッキーマティーニ」(中村充宏)
前述した通りジンマティーニからの連想でオリーブを飾っても良かったのですが、あまり面白みがなかったので、外国人のお客様に日本文化を紹介する意味を込めて甘納豆に決めました。実際にカクテルをサービスした後に、甘納豆の紹介をすると「面白いアイディアだね」という反応が返ってきました。ただ、甘納豆の味は特徴があるので「苦手でしたら残してくださいね」と一言添えます。
最後にグラスに関しては、逆三角形の形で足が付いているマティーニグラスも候補に入れていましたが、日本らしさが強いカクテルになるにつれ、何かしら伝統ある器にしようと考えました。日本酒に用いられる酒器や升、琉球グラスなど検討した結果、氷を入れることや容量、佇まいの美しさから切子グラスを選びました。
カクテル名は臥龍の門のサブタイトルから取り、「トッキーマティーニ」。
竹からイメージする直線的なキリっとした味の展開、そして《臥龍の門》全体から感じた龍が休んでいるような柔らかさを日本酒の柔らかい甘味で表現。アルコール度数はワインより高い25度前後です。ジャパニーズジン、甘納豆、切子グラスなど日本の良き伝統を加えながら、ザ・ペニンシュラ東京のメインとなるアート作品《臥龍の門》をカクテルで表現できたと思っております。
カクテルが持つアートな側面を感じていただけましたでしょうか? このように、このコーナーを通してカクテルの魅力を伝えていきたいと思います。今回取り上げた「トッキーマティーニ」(2200円+税・サ)は、Peterバーでお飲みいただけます。
次回は、ザ・ペニンシュラ東京が所有する車の芸術作品《1934年製ロールス・ロイス ファントムⅡ》にインスピレーションを受けたカクテルを紹介します。
中村充宏
シニアバーテンダー:中村充宏(ナカムラミツヒロ)
2011年にPeterバーでバーテンダーとしてのキャリアをスタートし、2013年より現職でバー全体を統括。2014年より国内外の大会へ積極的に出場し、数々の受賞経験を残す。2015年には「ボンベイ・サファイアワールズモストイマジネイティブバーテンダー2015」で日本最優秀賞を獲得。同年5月、ロンドンでの世界大会に出場し、ジントニック部門で優勝。受賞歴のあるカクテル、「エンドレスビューティー」と「パーフェクトエデン」はPeterバーで販売。
Peterバー
ザ・ペニンシュラ東京24階
東京都千代田区有楽町1-8-1 TEL:03-6270-2888
アクセス:東京メトロ日比谷線・千代田線「日比谷駅」A7出口
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「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。