《ガーゴイル》カクテル「ガーゴイル」(中村充宏)
カクテルを作る過程に二つの特徴を入れました。一つ目は、カウンターでオレンジの皮をバーナーで軽く焼き、グラスに皮を伏せて置くことで、オレンジの香りをグラス内に移します。そうすると、飲んだ後味に京番茶とオレンジのスモーキーさが一体化し、印象的な余韻を作ります。
二つ目はお客様の前で、ヘビ入りのボトルからハブ酒を注ぐ事です。これには様々なお客様の反応が見えて、作り手冥利に尽きます。ハブ酒を入れる時に目を見開いて固まっている方が多いですね。え? それ入れるの…?みたいな。日本人の方だと、カクテルで飲んだことはないと驚き、外国人のお客様は、「オーマイゴッド」と半ば叫びながらボトルの中のヘビに視線が一点集中しています。一度、外国人の方にどうしても購入したいと言われましたが、ヘビ入りのボトルはお土産として持ち込めない国もあると説明したら、確かに税関が通らなそうだと肩を落としていました。
コロナの中、アルコールを提供できないという悔しい状態が続きましたが、やっとお客様と会話を楽しみ、カクテルを作る事ができるようになりました。また、その間にノンアルコールカクテルが脚光を浴び、私たちバーテンダーとしては嬉しい事態も起きました。まだ予断は許さないですが、カウンターに立てる喜びを日々噛み締めています。
今回までの三作品は、ザ・ペニンシュラ東京の芸術品に焦点を当てて、Peterバーにご提供しているカクテルを紹介してきました。
次回の作品は、題材を選んでいる最中です。また以前作ったカクテル作品も多くあり、こちらも随時紹介したいので、今少し迷い中…。今回は、乞うご期待という形で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
ヘッドバーテンダー:中村充宏(ナカムラミツヒロ)
2011年にPeterバーでバーテンダーとしてのキャリアをスタートし、2013年より現職でバー全体を統括。2014年より国内外の大会へ積極的に出場し、数々の受賞経験を残す。2015年には「ボンベイ・サファイア ワールズ モスト イマジネイティブ バーテンダー2015」で日本最優秀賞を獲得。同年5月、ロンドンでの世界大会に出場し、ジントニック部門で優勝。受賞歴のあるカクテル、「エンドレス ビューティー」と「パーフェクト エデン」はPeterバーで販売。渋沢麗扇に師事し、茶道、日本舞踊を研鑽。茶道では、講師許状を取得。近著『自分をデザインする』(パブリック・ブレイン刊)。
Peterバー
ザ・ペニンシュラ東京24階
東京都千代田区有楽町1-8-1 TEL:03-6270-2888
アクセス:東京メトロ日比谷線・千代田線「日比谷駅」A7出口
※営業日・時間はホームページなどでご確認ください。
※新型コロナウイルス感染症予防対策に基づき、通常はマスク着用にて業務を行っています。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。