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『写真とボク』植田正治 造本の美しさ!

『写真とボク』植田正治/クレヴィス/2,400円(税別)

鳥取出身の写真家・植田正治は、大正2(1913)年生まれ(2000年没)、生涯を通して、砂丘を舞台に写真を撮り続けた。

植田正治の写真集は何冊かあるが、本書は装幀が綺麗で、用紙の手触りもいい。造本の観点からも美しい。価格も手頃だ。そして、何より植田正治の作品が197点も収録されており、その軌跡を辿ることができる。

植田の写真の特徴は、構図にある。モノクロで背景が砂丘ということもあり、一見すると人物の配置に違和感を覚える。家族を中心とした写真のポージングも、どこか愛らしく、それでいて芸術的であり、ファッショナブルでもある。実際〈砂丘モード〉というシリーズ作品に取り組んでもいる。

「地方のアマチュア」と自称していたという植田だが、その評価は国際的でもある。10歳で写真に興味を持ち、16歳のとき、初めてカメラを買ってもらう。18歳で本格的に写真を志し、《浜の少年》で雑誌「カメラ」の月例懸賞に初入選した。87歳で亡くなるまで、生涯写真に取り憑かれた。

植田正治の作品は、植田正治写真美術館(鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3)で観ることができる。建築家・高松伸による設計で、植田の作品同様モダンであり続ける。なお、冬季休館があるため、お出かけの際は注意が必要だ。

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