山﨑修平 小説『テーゲベックのきれいな香り』特別インタビュー
「わたし」は様々な場面で、小説、詩、生、死、わたし、戦争とは何か、と自らに問いています。小説のテーマとして捉えてもいいのでしょうか。
読者の方々に「これがテーマですよ」と言っているわけではありません。テーマを設けているわけではないですから、どうぞ自由に読んでください。
読み方に正解はありませんから、自由にこの小説を楽しんでほしいのです。ただ、本当にあえて言うのなら、言葉です。言葉をどう捉えるのか。
編注:本書の57ページにこのような記述がある。
詩の方がエッセイよりも本当のことを書いていると思われるなら、つまり書いていないことによって詩に炙り出されているものを感受しているのだから読者の勝利なのだ、作者の手柄ではない。
続いて236ページにはこうある。
虹の色彩のように、音楽のように聴こえたなら「作者」の意図は成功している。
最後の質問です。今後の活動についてお聞かせください。
日々、淡々と丁寧に過ごしてゆく。それに尽きると思います。あまり目立ちたくない。忍者のように生きたい。
書くことは批評行為であり、生きることです。これからも詩をはじめ、評論や小説などを書いていくのだと思います。
次回の小説の構想ということであれば、本作とまったく別のものを書きたいです。全然異なる文体、捉え方で書く。
本日はいろいろなお話をありがとうございました。
山﨑修平(やまざき・しゅうへい)
1984年東京都生まれ、詩人・文芸評論家。2013年より短歌と詩を発表し始める。2016年に第1詩集『ロックンロールは死んだらしいよ』(思潮社)を刊行、2020年に第2詩集『ダンスする食う寝る』(思潮社)を刊行し、第31回歴程新鋭賞を受賞。2022年12月、小説デビュー作『テーゲベックのきれいな香り』(河出書房新社)を刊行。
Twitter@ShuheiYamazaki
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。