詩「コールスロー」南田偵一
子豚の次男が造りそうな木の小屋だった。ポテサラの店は、盛況で、マヨ味だけでなくカレー味もある。コールスローの店は、老人介護のデイサービスだった。優しく呼びますよ。おじいさんを五人くらい、重ねたような、におい。空の器は、西日でも、乾く。
マリーと名乗った、スタバのチャイニーズらしき、彼女は、フランスの川の名前みたいだと言った。コールも、スローも、英語だけど、元はオランダ語から来てるのよ。だって、私は、中国人なのにマリーじゃない、呼んでほしいから名乗ってるだけ。呼びたいから、あの川をコールスローと呼ぶの。
ウォーシーリーベンレン
アイムジャパニーズ
ヤーイポーニツ
私は日本人です
お好きなのをお選びください。普通の、朝取れじゃないキャベツと、カロリー100%残しのマヨネーズ。白いとうもろこしじゃない、黄色いとうもろこしのコールスローをください。コーンサラダでしょ。冷凍とうもろこしには、いまだ、白いとうもろこしは使われたことがありません。混ぜたら危険。あの頃の、屋根にスローした、乳歯と間違えるといけませんから。
優しく呼んでくれるのは、介護士とは限らない。昼間の空に、一点の白。雲の糞ではなく一等星でもなく、コーンです。コールしてみましょう。指が太過ぎて、タップできない。マリーは国に帰る頃だ。受話器越しに聴かせてくれた曲が、懐かしい。なんて曲。コールスロー。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。