「DayArt」28号特集 ペット探偵・遠山敦子さん(ペットレスキュー)に聞く
ノワの捜索に当たり、「ペット探偵」の存在なくしては語れない! 今回お世話になった遠山敦子さん(ペットレスキュー)にお話を伺った(編集長の飼い猫ノワが脱走した経緯については、「三毛猫ノワ脱走の6日間」をご参照)。
遠山さんはペット探偵になって2年程度だという。どういう経緯でペット探偵になったのだろうか。
「小さい頃から動物が好きで、将来は動物に関わる仕事に就きたかったんです。以前、動物愛護センターを訪れたことがありました。そのとき衝撃を受けたのが、ペット探偵になる最初のきっかけだったのかもしれません」
元はペットショップの店員か動物園の飼育係になりたかったという。ただ、愛護センターでつらい思いをしている動物たちがこんなにもいるのかという現実を知る。
「動物と関われたらなんでもいいや、と思っていましたが、改まりました。少しでもいいから、そういう動物たちを助けたい、そういう仕事に就きたいと漠然とですが、考えていました。と言っても、私、プロの音楽バンドを目指して上京しているんですけど(笑)」
バンドを辞め、勤めていたペットショップも退職する。自分には何ができるだろうか。大きな転機は2020年にやってくる。TBSの番組「情熱大陸」にペットレスキューの代表・藤原博史さんが出演し、ペット探偵という職業があることを知る。
「なんというお仕事だろうという感動に加えて、藤原さんの人柄に惹かれました。何度も観直して、藤原さんの本も繰り返し読みました。どんどん忘れられなくなって、藤原さんに連絡を取りました」
番組の反響もあってか、藤原さんへの問い合わせは多く、ペット探偵になりたいという声も多かったようだ。だが、藤原さんが実際に会ったのは、遠山さんだけだった。当日、ひとまずやってみますか、という話になった。
「最初の2間くらい、藤原さんと一緒に現場を回りました。でも、これはこうしてといった具体的なレクチャーはなく、背中を見て覚えるという感じでした。初日から、ご自身でどんどんスタスタ歩いていって、それについていく」
ペット探偵という仕事は、これ、といった決まりがないという。ペットは個体それぞれによって性格が異なるためだ。口では説明できない感覚がある。
「藤原さんがどういう風に歩いているんだろう。どこを見ているんだろう。いろいろ観察し勉強しました」
当初は2ヶ月の見習い期間のはずだった。しかし、ペットレスキューに入った翌月には一人で現場を任されるようになる。
「もう一人でできるよね、みたいなこと聞かれて、できますって答えちゃいました(笑)。『じゃあお願いします』。それから一人でやるようになりました」
遠山さんはノワを見つけてくれた直後、フジテレビの番組「奇跡体験!アンビリバボー」に出演した。そのとき、藤原さんは遠山さんのことを「天才的」と評していた。口では教えきれない感覚というものを、遠山さんは実に的確につかんでいったのだろう。現在、遠山さんの成功率は80%だという。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。