「DayArt」28号特集 ペット探偵・遠山敦子さん(ペットレスキュー)に聞く
■ノワはこうやって見つかった
ノワの捜索に関する経緯は「三毛猫ノワ脱走の6日間」を読んでもらうことにして、遠山さんにはペット探偵としてノワ捜索に当たる際、どのように臨んだのかを聞いた。
「一般的に猫はオスの方が遠くに逃げてしまう、と言われます。でも、決めつけることはしません。やはり個体差がありますから。ただ、去勢手術しているかしていないかは判断材料にはしています。今回、事前にノワちゃんの性格や生い立ちを伺っていました。ノワちゃんはとても臆病だということでしたから、そんなにウロウロできないだろう。ひょっとしたらあまり遠くには行っていないかな、くらいの検討はつけていました」
遠山さんはどんどん近所の人にお願いし、カメラと餌を設置させてもらった。
「現場を視察しているとき、いくつかポイントがあったと思います。物置がいくつも並んでいるおうちとか、縁側が広いおうちとか、軒下が潜れるようなおうちとか。目視には限界がありますから、重点的にカメラなどを置かせていただきました」
これらのお宅はほとんど同じブロック内(半径50メートルもないくらい)、可能性として、他のブロックに行っていることもあるだろうが、大きめなマンションの方には行かないだろうと踏んではいたようだ。
ペットレスキューに依頼したのは、結果的にはノワ捜索の4日目となった。依頼するとしたら、やはり早ければ早い方がいいのだろう。だが、遠山さんはしばらく唸っていた。
「そうとは言えないかもしれませんね。ノワちゃんの場合、逃げた数日はまったく動かなかった可能性があります。たとえ、逃げた当日にカメラと餌を設置しても警戒して動かなかったかもしれません。タイミング的にちょうどよかったのかな、と思いますね」
絶対こうすべきだ、こうした方がいい、ということは言い切れない。ペットの個体差もあるけれど、こういう運やタイミングも捜索には重要になってくるのだろう。
「移動してしまっていると難航することがあります。畑がずっと続いている場所なら、どんどん行ってしまうのもわかるのですが、え、こんな広い通り渡ったんだ、と結果的に思うこともあります。私の経験では、1.5キロ先で見つけたことがありました。長いと3ヶ月もかかることがあります」
実際に猫がここにいる、とわかった場合、捕獲する方法は大きく二つある。一つはノワが捕獲されたように捕獲器を使う方法、もう一つはトラップといって、ある程度十分なスペースを設け、猫が餌に近寄ってきたところ網などを下ろして捕まえるという方法。なかなか素人では難しいといえる。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。