
《1934年式ロールスロイスファントムⅡ》カクテル「ダブルアール(WR)」(中村充宏)
ザ・ペニンシュラホテルズは、ロールスロイス社と40年以上にわたりパートナーシップを結んでおり、ザ・ペニンシュラ香港では、世界で初めてロールスロイスを複数台導入した送迎サービスを始めた事でも有名です。また、ザ・ペニンシュラ東京が2017年9月に開業10周年を迎えた際は、「ザ・ペニンシュラ東京ラリーニッポン2017」に協賛。80台のクラシックカーが京都をスタートし、ゴールのザ・ペニンシュラ東京を目指すイベントを行いました。
そしてカクテル作りのインスピレーションを受けたのは、ザ・ペニンシュラホテルズにも数台しか保有していないバーカー製コーチを備えた「セダンカ・ド・ヴィル」スタイルを持つ希少なモデルの1934年式ロールスロイスファントムⅡ。

イギリス・ウィルトシャーにある修復専門施設にて、お客様の視点に立った様々な配慮がなされたペニンシュラ仕様にカスタマイズされ、東京の道路環境にも対応するよう特別な改良が加えられました。特筆すべきは、深い緑色のペニンシュラグリーンに包まれた落ち着きある外観です。
イメージとして最初にあったのは、ロールスロイスを生み出したイギリスと日本をうまく融合させてカクテルにしたいということ。
そして前述したペニンシュラグリーンの色合いを出すこと。しかし、カクテルは色を比較的自由に扱えるのが特徴ですが、経験を重ねてくると“色と味”を両立させることが何より難しい。
メロン、抹茶、ミントなど緑色のリキュールは様々ありますが、先程の日本を表現するとなるとやはり抹茶が候補。現地の文化を尊重しながらホテル運営を行うペニンシュラの精神にも一致します。
ここでリキュールか本当の抹茶を使うかで悩みました。私は、日頃から“作る過程もカクテル”と考えており、カウンターで抹茶を点てたほうがお客様は興味を持ってくれるのではと、実際に抹茶を点てる事にしました。

「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。