『じべた』文・谷川俊太郎 絵・黒田征太郎
『じべた』文・谷川俊太郎 絵・黒田征太郎/橙書店/1,500円(税別)
詩人・谷川俊太郎氏、画家・黒田征太郎氏による絵本『じべた』は、東日本大震災が発生した10年後、2021年3月11日を発行日とする。
「じべたはおおむかしからじべたです」から始まる一連の文章は、谷川氏がかつて裸足で遊んでいた幼少期の記憶に端を発する。
谷川氏の文章に、黒田氏のダイナミックなパステルや油彩がページを彩る。だが、ページのちょうど中央に、黒のベタ塗りが突如現れる。そこには、
きかいがやってきました
と、見開きに渡って大書されている。
土のじべたがなくなり、コンクリートだらけとなってしまった都市への嘆きとも読めるが、「でもじべたはちゃんとあるのです」と続く。
地震などの自然災害により、何もかもが無と化してしまった土地にも、まだじべたがあるじゃないか。それは嘆きというよりも、日頃、私たちが見失っている希望のようにも思える。
購入はアマゾンなどでは行っていない。橙書店のホームページをご覧いただきたい。
「DayArt」の編集長自らが取材・体験し、執筆しています。